リサイクルの狙い目は「天然木の漆器」です
私が若かった頃は、天然木の漆器は高かった。それに、金で模様が入っていたら、もう手が出ないような値段。
でも、今の時代は、漆器は人気がないので、高品質な未使用品が、リサイクル市場に、いっぱい出ています。これはねらい目。
でも、その前に、まず、天然木の漆器とはなにか、説明が要りますね。天然木とは、木をくり抜いて作るもののこと。高級な漆器は全てこの天然木。
100均で売っているのは、プラスティック製。もう少しちょっといいものだと、木の粉とプラスティックを混ぜ合わせて、成形したものとなります。小綺麗な吸い物椀の贈答用セットなんかは、ほとんどこの合成品です。
どうせなら、私は天然木の漆器が使いたい。なので、リサイクルショップの漆器コーナーで、熱心に掘り出し物を探します。
山中塗の、大きめの汁椀
山中塗とわかるのは、箱書きがあったからです
これまで私が買った漆器の中で、ナンバーワン。美しく使いやすく、漆の色の透明感が素晴らしい。箱入り5客セット未使用品で、5,000円ほど。
日常使いの汁椀には、柄がない方がいい。造形が見事であるなら。この器は、民芸の美と考え方を体現したものだと、いつも感心します。
「用の美」ということです。
これは小ぶりの菓子皿。未使用品ではなかったので、5枚で500円くらい。産地はわかりません。
沈金という技法で、柄が描かれています。筆で絵を描いたのではなく、漆の表面を削って金を入れる、エッチングです。
優雅という感じではありませんが、のびやかで生き生きした柄。ちょっとおっちょこちょいな人か、初心者が作ったのかなあ。
箱の中に素材の説明書きがあれば、天然木かどうかわかるのですが、リサイクルの場合は、身元がわからないことが多いです。
ちなみに、お店で売っている新品には、お椀の後ろに、素材が明記されています。
見分ける方法は、光に透かすこと。斜めに光を当てたときに、漆の塗料の下から、木目が浮かび上がってきます。これが、天然木。
写真の赤い漆器に、左上から右下にかけて、木目が入っているのが見えるでしょうか。これです!
あと、糸底(お皿やお椀の底の高くなっているところのこと)あたりが、分厚くなっているのも、天然木であることが多いです。丈夫にするためだと思います。
3年くらい前から、リサイクルの漆器の値段が下がってきて、最高級品である輪島塗でさえ、私にも買える値段になりました。
輪島塗を、日常的に使えるようになる日が来ようとは、思ってもいませんでした。私がお金持ちになったからではなくて、世の中が変わったからです。
日本の伝統文化の在り方として、いいのか悪いのか、悩むところですが、今は、難しく考えずに、高品質の漆器を楽しみたいなあと、思っています。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。