三好達治の詩「志おとろへし日は」
両親が、大の本好きだったので、子どもの頃、我が家は家じゅうに、本が積んであり、私は本の山に囲まれて、育ちました。
その中に、紺色の装丁の「日本の文学」という美しいシリーズがありました。
私は、あまり小説や難しいものは、好まないのですが、詩は大好き。
その中で見つけた「志おとろへし日は」という詩が、大のお気に入り。
20歳の頃よりも、60歳になった今の方が、より、味わえるようになりました。
京大農場の旧校舎
今はお洒落なレストランになりました
志(こころざし)おとろへし日は
こころざしおとろへし日は
いかにせましな
手にふるき筆をとりもち
あたらしき紙をくりのべ
とほき日のうたのひとふし
情感のうせしなきがら
したためつかつは誦しつ
かかる日の日のくるるまで
こころざしおとろへし日は
いかにせましな
冬の日の黄なるやちまた
つつましく人住む
小路ゆきゆきて
ふと海を見つ
波のこゑ
ひびかふ卓に
甘からぬ酒を
ふみつつ
かかる日の日のくるるまで
今は、筆も紙も使いませんが、それでも、心が沈む日に、文章を綴りたくなるのは、ブロガーであれば、経験があるのでは。
私も、言葉を綴ることで、自分の心が回復するのを、待つときがあります。
心を鎮めるために、海を見にいくことも、ちびちびと、お酒を飲むことも、誰しも同じなのだと。
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