長いトンネルを抜ける瞬間
後になって思い返すと、下り坂にはいった日を、はっきりと覚えています。私は、まだ若くて、おバカで、なにも考えていなかった頃。
ある日、近所の花屋で、珍しく赤いミニバラの鉢を買って来たんです。その花に水を上げたり、スケッチしたりと、私はのん気に過ごしていて。
その次の日から、私のお気楽な人生が、大きく傾く、悲しい電話(年若かった家族の病気)があって、そこから、幸せな日々が、崩れ始めました。
そのあと、震災もあって、他の家族の病気も、立て続けで。
初めは、落ち込んで悲しくて、それでも、乗り越えようと頑張りました。「今日こそトンネルから抜けるかも」と期待するのに、出口は見えない。
うまくいかなくなって、心が動かなくなって、あきらめて。疲れ果てているのに、そのことすら、もう、気がつけない。
長くて暗い、トンネルに入り込んだんです。つらかったな。
でも、トンネルを抜けることが、出来ました。でも、トンネルを抜けた瞬間は、わからなかった。入ったときはわかったのに。
もう、トンネルが長すぎて暗すぎて、トンネルに慣れちゃったんだろうと、思います。出口を探す気力もなくて、ただ歩いていたら、気がついたら、外だった感じ。
外に出たものの、外も暗かったから、わからなかったのかも。それでも外は外。
こんな風に、誰でも、トンネルに入り込むときがあるし、でも、トンネルから抜ける日も、必ず来る。
私の場合は、もうトンネル通行券を、一生分使い切ったと、信じています。トンネル定期があるのなら、すぐに、キャンセルですね。
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